ため池
長池
長池は大正4年(1915)に、既存の二つのため池を統合・拡張して造られた、西光寺野地区最大のため池で、一周約2.5kmの規模を誇ります。造成時には水面に島を築き、水神として弁財天を祀りました。農業用水の要として地域を支えるとともに、景観も豊かで、周囲の農地や自然と調和した風景が広がります。
奥池
奥池は慶長年間(1596〜1614)に農業用ため池として築造され、明治・大正期に大規模拡張が行われ長池と連結されました。昭和63年の県営事業で現在の姿となり、満水面積12.1ha、貯水量50万㎡で82.3haの農地に安定した用水を供給しています。高台の堤体からは周囲を一望でき、四季折々の景観も楽しめます。
西光寺野周辺
兵庫県神崎郡福崎町と姫路市北部に広がる西光寺野周辺は、歴史と自然、そして地域の営みが融合する魅力的なエリアです。江戸末期から明治期にかけて開拓された西光寺野は、ため池群と灌漑施設により農業地帯として発展しました。その中心にある「長池」や「奥池」は、地域の農業を支えるとともに四季折々の美しい景観を楽しめる場所です。
この周辺の見どころの一つが、日本遺産にも認定された「銀の馬車道」です。明治9年(1876)に生野銀山から姫路港まで約49kmを結ぶ運搬路として整備され、馬車による鉱石輸送を可能にしました。当時の近代化の象徴であり、沿道には往時の面影を残す史跡や町並みが点在します。
また、町のシンボル的存在が「辻川山公園」です。民俗学者・柳田國男の生家が移築され、記念館として一般公開されています。園内には柳田の著作に登場する河童や天狗のモニュメントもあり、民話の世界を体感できます。春は桜、秋は紅葉が楽しめる憩いの場でもあります。
さらに、地域の特産品であるもちむぎ文化を発信する「もちむぎのやかた」も外せません。もちむぎは食物繊維やミネラルが豊富で、地元では古くから栽培されてきました。館内では生産工程の見学や、もちむぎ麺・菓子の試食、購入も可能です。
そのほか、西光寺野の周辺には、市川沿いの自然散策路やため池を巡るウォーキングコース、地元産野菜の直売所などもあり、農村の風景とともに地域の暮らしを感じられます。歴史遺産と自然、そして人々の営みが息づくこのエリアは、訪れる人にゆったりとした時間と発見を与えてくれる場所です。

























